医療法人 三木医院

阿武山 の 小児科,内科/発達障害外来  医療法人 三木医院

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私どものつぶやき

“発達外来”開設にあたり― 神経発達症とはなんでしょうか?

 自閉スペクトラム症、注意欠陥多動性障害および学習障害の三つの発達障害のタイプが重なり合って多様な病態を呈します。やたらと漢字が並んで最後に“障害”の文字、なにか難しい問題を抱えた病気のようで悲観的な響きがありますが一体どのようなものなのでしょう? そのような子にどう向き合えばよいのか、ニュアンス的に分かっていただいたらと思います。

 幼児期に躾をしていて親の言うことを聴いているようで何度諭しても治らず、「この子は素直でない、なんと育てにくいのだろう」と親が常々感じるような場合、思春期の反抗的態度でひとが変わったかのようになり、手がつけられないような異常な状態になる場合など、この発達障害が潜んでいることがあります。周りからは甘やかし過ぎだといわれ親や家族は悩み悲観的になり、育児の仕方や躾が悪かったのだと思ってしまい、お子さんにきつく当たるとかえって状況は悪くなります。不登校、ひきこもりさらに事故に至らぬよう思い切って早めに専門家にご相談ください。

 最近の米国の統計では数%のひとがこの問題をもつともいわれ、子どもの時期も青年期以降でも多様な問題が生じてきます。他の先進国に遅れること10数年、2005年にやっと日本に発達障害者支援法が施行され、早期発見、早期療育支援が謳われてきていますが社会での認識はまだまだの状態です。医師や臨床心理士の指導のもと、互いに信頼できる親子関係を基盤とした家庭、理解してくれる学校や職場の環境整備が必要です。

 空気が読めない、コミュニケーションが上手くない、社会性が乏しいとよく言われますが、“社会性”とは社会の中でスムーズに受け入れられる大多数の人たちの行動パターンを意味し、この社会性が乏しくても個性的な能力を発揮することはできるのです。病気というよりも個性(特性)、すなわち少数派といえども人間の在り方のひとつと考えるべきかもしれません。ですから在りざまを否定するのではなくてその子らしくよりよく生きられるように、医師、親、教師が手を取り合って支援すべき存在なのです。だから“発達障害”という名称は行政のなかだけでいまは“神経発達症”と呼びます。

 天才と呼ばれる人たちにこの傾向が指摘されることがあります。アインシュタインが相対性理論を唱えたのも、エジソンが発明王でありえたのも、薩長同盟を進めた坂本龍馬も、誰も思いつかない発想力、その「特性」がなしえたものかもしれません。近年では自ら発達障害だと告白する人々があります。スティ-ブ・ジョブス、ビル・ゲイツ、三木谷浩史、トム・クルーズ、スティ-ブン・スピルバーグなど枚挙にいとまがありません。発達障害=天才であるわけではありませんが、その特性を活かさなければ彼らの成功はなかったでしょう。自らの特性を理解して得意な部分を伸ばし(100点をとり)、苦手な部分はなるべく補えるよう工夫する(0点でも良い)。全ての科目において60点以上でなければという価値観を変えなくてなりません。その子の熱中する興味ある分野を発展させれば、上記の人々の仲間入りを果たすかもしれませんから。

 実は日本は発達障害大国なのです。人種の差というより文化の差なのでしょう。島国で他国との接触が極端に少なく、単一民族、単一宗教の歴史が影響していると思われます。同じ程度の障害でも他の国では許容されるレベルであるのが日本では問題視されてしまう。日本では空気を読み阿吽の呼吸を国民に求める風潮があり、完璧な集団行動を求めすぎているようです。いつの時代も一定数の発達障害のような特性はありました。本来大らかな日本人社会に溶け込みあるいは「少し変わっているけど精力的だ」と受け入れられていた特質が、昨今許容されず排除される傾向になってきたことが発達障害を取り沙汰する所以かもしれません。しかしグローバル化が猛烈なスピードで進む現代において日本人みなが価値観を変えて排除志向を改め、神経発達症の子供達の特異な才能を活かすことがいまの世の中の泥沼的状態から脱却する突破口になるかもしれません。